2017-01-01から1年間の記事一覧

2017年を振り返ると

今年は『宇多田ヒカル論』『ジョジョ論』『戦争と虚構』と、3冊も本が出せました。ありがたいことです。「2017年は文芸評論元年にする」と宣言していましたが、予定とはちょっと違う形になったものの(『柄谷行人論』の連載をするはずだった)、ふりかえれ…

新刊『戦争と虚構』刊行

8冊目の単著が刊行になります。 政治と美学、作品論と時評の間をぬっていくような批評。 2010年代論でもあります。 新境地だと思っています。 割といい本だと思いますので、よろしくどうぞ。 《いかにフィクションは戦争に抗するのか? 災厄の気配――鳴り響く…

最近の仕事(スティーヴン・キング論)

最近は若い頃に出会い、人生的な影響を受けた作家について書く機会がなぜか多いのですけれども(宮崎駿、長渕剛、ジョジョ、筒井康隆、法月綸太郎、北野武、村上春樹、宇多田ヒカル……)、キングは高校の頃、最も愛読した作家の一人です。この機会に読み返し…

最近の仕事(北野武論)

『アウトレイジ 最終章』公開に合わせて刊行された『映画監督、北野武。』(フィルムアート社)に次の文章を寄せました。原稿のためにこの夏、北野武/ビートたけしの映画17作品を順番に観ていましたが、大学生の時に『あの夏、いちばん静かな海。』と『ソナ…

最近の仕事(ミステリ批評×3+上田岳弘『塔と重力』書評)

三つのミステリ批評がたまたま、ほとんど同じ時期に世に出ることになりました。高校生の時に人生上の影響を受けた法月氏や笠井氏の小説をこの夏、まとめてゆっくりと読み返したのは、幸せな時間でした。昨年の「本格ミステリー・ワールド」鼎談を読んだ法月…

繁体字版『宮崎駿論』が出ました

翻訳して頂いた繁体字版の『宮崎駿論』(典藏藝術家庭股份有限公司)が台湾から送られてきました。僕には読めませんが、嬉しく思います。現地の人々にはどんな読み方をされるのだろう。僕にとって今のところいちばん深く遠いところまで行けた批評の本だと思う…

最近の仕事(1990年代論+震災後文学イベント)

下記の論集に次の原稿を寄せています。 1990年代のジャンプマンガと、小林よしのりやヘイト系のマンガと、「批評空間」やNAMのことをトライアングル的に繋げるような何事かを書いています。特に90年代後半の「ジャンプ」暗黒期を象徴する『封神演義』の藤…

最近の仕事(筒井康隆論+書評)

◆「筒井康隆論――文学は差別と戦えるか」(47枚、「すばる」2017年8月号) ◆「上村亮平の微光」(3枚、「文藝」2017年秋号) 今月はほかに、宮内悠介氏『あとは野となれ大和撫子』の書評が東京新聞(7月9日)に、齋藤直子氏『結婚差別の社会学』の書評が共同…

新刊『ジョジョ論』刊行

ついに刊行されますッ! ◆◆(7冊目)『ジョジョ論』(作品社、2017年6月27日) ジョジョ論作者: 杉田俊介出版社/メーカー: 作品社発売日: 2017/06/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る

最近の仕事(安彦良和氏について+松本俊彦氏との対談)

最近の仕事です。 ◆「どこまでも、無名の青年のように新しく(安彦良和『原点 THE ORIGIN』を読む)」(10枚半、「図書」2017年6月号、岩波書店)→https://www.iwanami.co.jp/book/b288041.html ◆松本俊彦+杉田俊介「取り残されているのはマジョリティ側の…

最近の仕事(『騎士団長殺し』論+対談幾つか)

村上春樹の新刊『騎士団長殺し』についての30枚程の批評を書きました。ゆくゆくは自分なりの文芸評論の総決算として長編評論『村上春樹』を書くつもりですが、その原点を確認できた気がします。 3月末に、幾つかの対談がありました。いずれも素晴らしい、最…

メモ二つ(椎名林檎について、又吉直樹『劇場』について)

●椎名林檎についてのメモ 椎名林檎の『無罪』『勝訴』は実存的ロマン主義と人工的古典主義のせめぎあいの奇跡的果実であり、しかし彼女の女性としての肉体をずたずたにし、3枚目で古典主義的な技巧に着地して(緊急避難して)、結婚出産離婚からの引退も十分あ…

限界研『東日本大震災後文学論』刊行

共著『東日本大震災後文学論』が東日本大震災から6年目の3月11日に刊行されます。 昨年から僕も「新人」として限界小説研究会に参加していました。これはその研究成果です。漢字10文字のタイトルも、カバーの黒さも、600頁を超える分厚さも、じつに反時代的…

最近の仕事(諸々)

ちょっと身辺が落ち着かない日々が続いていますが、最近の仕事諸々は下記になります。 ◆笠井潔+藤田直哉+杉田俊介+冨塚亮平+藤井義允「『シン・ゴジラ』を撃て!――笠井潔『テロルとゴジラ』、藤田直哉『シン・ゴジラ論』をめぐって」(「図書新聞」2月25…

α-Synodos原稿の削除部分

上記のα-Synodos原稿から削った部分(原稿が長すぎた、同号の粥川氏の原稿とかぶった、本論とあまり有機的な繋がりがない、等の理由による)を下記に(せっかくなので)アップしておきます。 優生思想とは何か。 以下では、(1)古典的な優生思想、(2)リ…

最近の仕事(α-Synodos原稿+津島佑子論)

◆「優生と男性のはざまでとり乱す――優生思想についてのメモ」(約25枚、「α-Synodos」vol.212(特集:生命)、2017年1月15日配信) ◆「いかに兄を障害児として産み直すか――津島佑子の初期作品から」(43枚、『津島佑子』河出書房新社、2017年1月20日) http:…

すばるクリティーク賞創設+選考委員になります

大切なお知らせがあります。 「すばるクリティーク賞」という批評の新人賞が新しく創設されました。 その選考委員になりました。 他の選考委員は大澤信亮、中島岳志、浜崎洋介の各氏です(中島氏はゲスト選考委員の位置づけです)。 どんな「新人」と出会え…

新刊『宇多田ヒカル論』刊行その他

2017年もどうぞよろしくお願いします。 本年も地道に、地味に、精一杯の仕事をしていくつもりです。 今月末(30日)に新刊が出ます。 一生に一度だけ、書くことを許される種類の本だと思います。 誤解を招くかもしれませんが、本書の主題は愛よりも恋だった…