サクラ

 午前中、自閉症の子と多摩川で戯れる。せせらぎ館(http://www.seseragikan.com/)の周辺は桜が紫色に舞い散る。老人デイの一団など、人もたくさん。その子は、桜に関心もないようす。いつものように、彼は彼なんだった。帰りぎわ、登戸駅方面へ迂回し、二ヶ領用水の桜並木の下で、桜の花びらたちが散り急ぐみたく星座みたく流されていく水面をながめながら、じりじりと日差しにあぶられながら、ひとりビールとおにぎりを・・。まわりは花見客で静かに高揚し、くるおしく、ざわめく。そう、恋人が社会福祉士合格したので、昨夜は近所の韓国料理屋さんでお祝いしたんだった。薄着に夜風はなお冷たかった。時がのろのろと流れながらも、状況にひたすらに流されながらも、一瞬と一瞬のさかいめがせつなく、ありがたくに感じられた。治りかけたきずぐちのかさぶたみたく、はかないのだった。明日のことはわからない。きっと明日自身にも。・・そんなことを思い、多摩川へは行かず建設中の北部病院の前を抜けて駅に向い、ほのかに酔った頭で、自分のからだにぐらぐらと嫌悪を感じた。これじゃだめなんだ。真綿か何かにおしつぶされていく気分だった。今夜、友人をよび、夜桜を見に行こう。