最近の仕事(東浩紀論)



 ◆「東浩紀論――楽しむべき批評」(64枚、「新潮」2014年11月号)


 今もなお最高に刺激的な批評家として疾走し続けている(すでに「批評家」という肩書にはおさまらないでしょうが)東浩紀氏について書きました。「東氏の多彩な仕事を、実存的・批評的な文脈に回収しているだけではないか」と批判されるかもしれませんが、まさにその実存的・批評的な意味を私なりに受け止め直すために、精一杯、書いてみました。目新しい解釈や知見は何もありません。ただ、東氏の中に一貫してある、或る倫理的な欲望を見つめてみたつもりです。
 タイトルは石川啄木の有名な「食(くら)うべき詩(弓町から)」から。
 東氏の初単著『存在論的、郵便的』を担当した矢野優氏が編集長を務める「新潮」に発表できたことも、嬉しく思います。そして何より、若い編集者の清水優介さんの、大いなる熱意のお蔭です。深く感謝致します。


 今後数年、幾つかの文芸評論を継続的に書いていくつもりです。これまで自分を生かしてくれた批評への、感謝の気持ちに立ち帰るようにして。いつの日かそれらを『感謝の批評』という一冊の文芸評論の本にできれば。そんなことを考えています。


新潮 2014年 11月号 [雑誌]

新潮 2014年 11月号 [雑誌]