限界研『東日本大震災後文学論』刊行



 共著『東日本大震災後文学論』が東日本大震災から6年目の3月11日に刊行されます。
 昨年から僕も「新人」として限界小説研究会に参加していました。これはその研究成果です。漢字10文字のタイトルも、カバーの黒さも、600頁を超える分厚さも、じつに反時代的な一冊になったと思います。あの震災の衝撃に対峙するには、そんな過剰さが必要だと思われました。日々の生活の中で色々な物事を忘れていく自分にとって、何を忘れ、何を覚えているか、また何をそもそも記憶すら出来ていないのか、結果的にそれが試されているとも思います。
 お手に取ってみて下さい。
 メンバー同志の共同研究や相互批評が全体を染みわたっています。僕自身は巻末の作品リストのほか、高橋源一郎論を書いています。200枚になりました(この長さの原稿を掲載して貰えるのも論集として過剰ですが)。同論では高橋以外にも中村文則、上田岳弘、星野智幸大澤信亮などの小説・批評をポストヒューマンな「銀河系文学」と呼び、また終盤では宮澤賢治ゴジラナウシカ高畑勲などに関しても論じています。


 ◆「高橋源一郎論――銀河系文学の彼方に」(200枚、限界研『東日本大震災後文学論』、2017年3月11日)

東日本大震災後文学論

東日本大震災後文学論



 個人的な話を付け加えれば、高橋源一郎の男性問題を論じているという意味では『宮崎駿論』『長渕剛論』『非モテの品格』との連続性もあります。さらに昨年末の立岩真也氏との共著『相模原障害者殺傷事件』と本書『東日本大震災後文学論』は、偶然ですが、共に漢字10文字で過剰な感じになりました。