これから介護労働の世界を目指す若い人々へ

 今も世間では誤解が根強いらしいのだった、「介護の分野は経済的にのびていく」、と。


 何度も述べてきたけど、現場の印象はこれと全く異なる・・。
 一生この世界(特に障害者福祉)に関わるつもりなら、生活は非常に苦しくなる、と覚悟しなきゃいけない。手取り20万円(ボーナスなし)を10年単位で維持するのは、きっと益々難しくなっていくだろう。社会福祉事業団レベルだって、今後はどうなるかわからない。本当に。家族の生計の問題でこの分野から離れていく人の、何と多いことか。
 そのありふれた現実が、何故かきちんとアナウンスされていない。
 その事実がもっともっとアナウンスされていい。


 ぼくは昨年位から、若いボランティアや学生たちが「介護の仕事を選びたい!」と目を輝かせ生き生きと現場に飛び込んでくるを見る度に、ふくざつな気持を味わってきた。
 正直な気持、もっと別の業種を選べば安定した生活が望めるかもしれないのに、と感じ続けてきた。
 今もその部分はあまり変わらない。
 例えば、公務員や母体のしっかりとした会社で勤務し、生活を安定させながら、余った時間で障害者福祉にボラその他で関わる。そういう道もある。そしてその方が、長い目でみれば《障害者福祉》のために寄与できるかもしれないのだ。


 でも、何人かの志もポテンシャルも高い若い人々と触れ合う中で、上のぼくの考えも別の意味で傲慢だ、と感じ始めたんだった。
 今はむしろこう痛感し、こう語りかけたいんだった、「今この分野で日々働いているぼくらは、全精力を捧げて、あなた達が生涯を通じて継続的に働いてゆけるだけの環境をつくっていく、少なくとも日々それを目指す、だからあなた達もぜひ覚悟と情熱をもってこの世界に入って来て下さい、そしてそんな環境を皆でつくっていきましょう、互いをよりよく高めていこう」……と。


 というか、ぼくごときが変に心配し杞憂するより、若い人々ははるかに当たり前に強いんだった。だからぼくはぼく自身の人生の問題と淡々とたたかい続けよう。そしてそれ位のことしか出来ない。