『美しき日々』
アンゲロプロスのDVDボックスを衝動買いしたものの、そのあと実家の母親が韓流ドラマに突如はまり、『美しき日々』のDVDボックスをぼくにアマゾンで買わせ、のみならずぼくも母親の執拗な推薦に洗脳され、最近は就寝前に『美しき日々』を見て寝る毎日・・。
3分の2位からイ・ビョンホンとチェ・ジウの相思相愛が固定し、それをリュ・シウォンがストーカー的に追いかけ(彼の中盤以降剥き出しになるみじめさはすさまじい!)、そのリュ・シウォンをチェ・ジウの妹ぶん役のイ・ジョンヒョンがストーカー的に追いかける……
という構造が固定してしまって、ダイナミズムが完全に失われひたすら冗長になるのだけれど、それ以前の、恋愛の4角関係と亡父・亡母をめぐる家族関係が絡み合いながら繊細かつ大いにメロドラマティックに展開していく感じは、かなりぼくは好きです。
情報の不可避な盲点が、憎しみとすれ違いを連鎖的に生じさせる。誰かへの愛情の深さが、そのまま別の誰かへの憎しみの深さへ転化してしまう・・。*1少し横光利一の家族小説を思い出した。
作品の舞台「韓国」と「日本」は高度消費都市でほとんど違いがわからないほどそっくりなのだけれど、そこに生きる人の感覚やはり微妙に違う(気がする)。でも「日本人はすれていて韓国人は純情さを残している」というのとも違う。一度愛すると決めたら絶対に引かない。
何事にも関心のないわが母親をあれだけ引き込むとは、韓流ドラマにはやはり何かある(母親がなぜあれだけ魅了されたのか?という疑問なしにはぼくは『美しき日々』を見なかった)。今も謎のまま・・。