経済学と経済学批判

 id:dojinさんが「むやみに経済学を批判してはいけない。」(http://d.hatena.ne.jp/dojin/20051206)で言われていることは正しいと思う。「残念ながら、経済学を知らない人たちのナイーブさを嘆きながら、実にナイーブな価値観を持つ(と私には思われる)経済学者はたくさんいるように思われる。そういう連中には警戒しなければならない」という二重の批判も含めて。
 しかし問題は、「経済学の抽象モデルが注意深く構築されれば、この現象だってある程度までは経済学だけで説明できてしまう可能性もあるのだ(もうすでにされているかも??)」とあるけれど、なぜ現在「経済学」が相対的に「強い」のか、なぜそれが多くの社会的事象を説明可能なものに「感じられる」のか、にある。それはたんに、経済原理が全ての領域をネオリベラル的に隅々まで覆い尽くしているから、なのかどうか。かつてポストモダニズム哲学が相対的に「強かった」時(ぼくはそれをリアルタイムでは知らないけど)、柄谷行人は、科学者にはナイーブな哲学者が多すぎる、「哲学」を批判するためにこそ哲学を学ばねばならない、云々と述べた。現在の文脈では、経済学批判のためにこそ経済学を深く学ぶ必要があると思う。
 それにしてもdojinさんのブログは面白い。ためになる。
 立岩真也氏×稲葉振一郎トークセッションは残念ながら見にいけなかった。id:kwkt氏のルポがある(http://d.hatena.ne.jp/kwkt/20051127#p1)。続きもあるようだ。