川崎市の障害者ヘルパー事業・地域生活支援事業の混乱

 10月以降の、川崎市の障害者ヘルパー事業・地域生活支援事業の混乱が、一向に収束する気配がない。
 過度の疲弊をとっくに過ぎてうんざりになり、うんざりを通り越して不気味なユーモアの感覚さえ全身に漲っている。
 はっきりいえば、不渡り手形/詐欺まがいの口約束/隠微な恫喝を複雑にふくむこの程度の執拗で散文的な暴力に音をあげ、心を折られる職員は現職場に誰一人いないが(強いて言えば皮膚と内臓の脆弱な杉田くらいか)、そして真の協同作業は粘り強い交渉力と体力を全メンバーに自然に染み渡らせるものだが、川崎市の身体・知的障害者福祉の在宅ヘルパー部門をめぐって生じている、ささやかだが決定的な出来事の一端を、この世に「なかったこと」にされたままでいるのもつまらないので、走り書き風にスケッチしておくのも悪くはないだろう。


 たとえば11月になっても(10月分の)受給者証が利用者に届かない、内容に明らかな不備が随所にある、等のケースは、利用者ごとに無数にある(細かいトラブルが何百通りもある)。事業者ネットワークによれば、10月末時点で、10月に既に行ったヘルパー派遣内容に関して、正式な契約を完了しているケースは、どの事業所でも、ほとんどないらしい。9月末に、川崎市は、10月の全利用者への受給者証支給が間に合わないため、各利用者へ「暫定支給通知書」を送っている。10月は「みなし」でやります、と。しかし、これが混乱を悪化させた。そもそも区ごとに送った時期にずれもあったし、川崎市は、福祉事務所や生活支援センターにもその事実を事前に明確に通知していなかった。うまく支給が整理され、片付いた利用者もいる。しかし、全くうまくいかず、こじれにこじれている利用者もたくさんいる。一度こじれてしまうと、支援計画書/暫定支給決定通知書/本受給者証の間にずれがあって(受給者証も訂正を重ねて3枚、というケースだってある)、どれが本当に信用できるのか、福祉事務所・生活支援センターをふくめ、誰に聞いてもよくわからない。ぐるぐるしてしまう。あるいは、書面の支給量では、実際に生活の場で必須の介護内容からすれば、明らかに不足している、また内容に不備がある(日々の生活に身体介護61時間必要なのに受給者証では45時間しか降りていない、とか、行動援護の指定が取れない事業所が当面は行動援護をやってくれと福祉事務所から言われたり、とか、4時間の通院介助をやってくれと福祉事務所からいわれてすでにやったのに、あとから通院介助はおりないといわれた、とか)。
 もちろん、利用者の生活維持のため、ヘルパーは今まで通り派遣せざるをえない。それしかない。市からは、もしやれないなら他の事業所を自分たちで探しなさい、それが義務だ、というファックスを受け取っている。口頭でだが、探せないなら全ての事業所指定を取り消します、とまで言われている。
 こんなありさまでは、10月分を国保連に請求をかけても、事業所にお金がどこまでおりるかどうか、よくわからない(厚生労働省が禁止する重度訪問介護と身体介護が同時に出ている受給者証が来たりしている、こういうのがたくさんある)。どうもお金がおりないケースもたくさんありそうだ。
 福祉事務所は「あ、受給者証の時間数間違えました!」ですむ。しかし、契約のやり直し、時間数の不足、利用者への説明、ヘルパーの給与の訂正、そもそも単価がおりない可能性、など、「間違いました!」ではすまない事後処理が色々と付随してくるわけなのだった。


 繰り返すが、混乱は一向に収束していない。