『フリーターズフリー』1号



 まもなく専用ウェブも出来るので、本格的な宣伝はそちらに譲りたいが、『新現実』VOL.4にフリーターズフリーの交換広告が載ったこともあり、いくつか問い合わせを頂いているので、生田武志ホームページにもアップされているチラシ用の広告文を掲載しておきます。刊行が遅れご迷惑をおかけしていますが、もう少しお待ち下さい。

 働けと言わないワーキングマガジン『フリーターズフリー』1号
 6月発売予定 1500 円(予価) 
 発行:有限責任事業組合フリーターズフリー
 発売:人文書院


"生"を切り崩さない[仕事]を考える


■ CONTENTS


「生きづらさとプレカリアート雨宮処凛(作家)
「働く理由」城繁幸(人事コンサルタント
「自分がホームレスになると思っていなかった人達」斉藤広(野宿者支援/野宿当事者)
「働きたくても働けない人間だっているぞ! バカヤロー!」白井勝美 (精神障害無職者)
「おまえの言っていることは正しい、けれど人間は──」小泉圭(広告会社勤務)
不登校の「その後」を生きる女性の語りにむけて」貴戸理恵(大学院生・不登校研究)
生活保護ベーシック・インカム」野崎泰伸(立命館大学生存学プロジェクト研究員)
首都圏青年ユニオン 河添誠書記長【インタビュー】
ビッグイシュー 佐野章二代表×瀧氏(販売員) 【インタビュー】
期間工やる前に読んでおけ!」ドンキー工具.Jr×大澤信亮【対談】
「私は日雇い派遣しかできません (>△<)VIVAじぶん!! ★」ちろる×栗田隆子【対談】
「ロールケーキの自己防衛」中田うい(マンガ家)
「無能力批評 disability critique」杉田俊介(介護労働者)
「フリーター≒ニート≒ホームレス」生田武志(日雇労働)
「“ないものとされたもの” これくしょん」栗田隆子(非常勤公務員)
「組合文学論」「君についての覚書き」大澤信亮(大学教員・物書き)

フリーターズフリーへようこそ!――わたしたちの出発点

 働くことについての雑誌を作ろうと思いました。

 世の中には「若年労働問題」をテーマにした本がたくさんあります。フリーターやニートが増えたのは社会構造のせいだという人もいるし、単に今の若者は甘えているだけなのだという人もいます。
フリーターは今後も増え続けるという見方もあれば、景気の回復や少子化によって減少するという見方もあります。政治の現場でも、政府が再チャレンジできる社会環境づくりを叫ぶ一方、経済界の代表は人材の使い捨てを宣言します。格差はあった方がいいとか、年収三百万円時代とか(そんなに稼げねーよ)、徴兵制を復活させろだとか、もう、日本は何が何だかわからなくなってきています。

 ところで気になるのはこれらがみんな「彼らの言葉」であることです。彼らが「わたしたち」のことを本気で考えているのかどうかはこのさいおきます。彼らが本気であろうとなかろうと、やっぱり、わたしたちのことはわたしたちが考えるべきだと思うのです。彼らが頼りにならないから、ではなくて、それが自分たちの問題だから……。

 それでは「わたしたちの言葉」はどこにあるのでしょう?

 企業に勤める若い正社員や就職活動中の学生の中には、「フリーターは自己責任で負け組になった」と言う人がいます。それに対してニートのある青年は、「働いたら負けかなと思ってる」と言い返します。なぜか「若年労働問題」を語る人はみんな声が荒々しくなります。それはたぶん、相手を馬鹿にしているからでも、妬んでいるからでもありません。そこを否定されたら人生そのものを否定されてしまうような、そういうかけがえのない何かをめぐって、わたしたちは今日も争い合っているのではないでしょうか。

 わたしたちが目指すのはそんな論争のアリーナを拡げることです。当事者たちの多様な声を響かせあうことで、問いを共有し深めていくことです。誰の意見が正しいと決めたいのではありません。
そもそも決める力なんてあるわけないし、決める必要があるのかさえわかりません。だけど、一つだけ言えるのは、相手のことをロクに知りもせず、知ろうともせず、一方的に捻じ曲がったイメージを作り上げ、自分を肯定するためだけに相手を罵しるような精神を、わたしたちは絶対に拒否するということです。

(「フリーターズフリー」創刊号「巻頭言」より抜粋)



 「フリーターズ・フリー」は、「“生”を切り崩さない[仕事]を考える」「働けと言わないワーキングマガジン」を目指し、不安定なまま働く当事者たちの視点によりそい、かつ、フリーター、派遣労働者、野宿者、障害者、外国籍労働者などの生を複眼的に捉えようとする、そしてそこから生きた「明日」を見出そうとする、そんな雑誌であろうとしています。
 数年来の共同討議を重ねてきましたが、LLP(有限責任事業組合)に登記し、今後「協同事業」をコアにおく事業体として活動を展開していく予定です。