自立支援法1年、2割近く離職

 某MLから孫引き。


[医療・介護情報CB(キャリアブレイン)ニュース 2007年10月09日]
■自立支援法1年、2割近く離職■

 「障害者自立支援法」の影響で1年間に職場を離職した人が職員定数の2割近くに上り、事業所の収入も同法の実施前に比べ1〜2割減少していることが10月9日までに明らかになった。全国各地の施設・事業所関係者は「同法を抜本的に見直し、応益負担の廃止と報酬引き上げを緊急に求める」要望を数多く挙げており、現場の声に国がどう対応するか注目される。
 同法は、昨年4月1日に施行され、障害者福祉サービスや医療に対する利用者の原則1割負担(応益負担)が導入。同10月からは全面実施となり、補装具などの負担も加わった。応益負担によって通所やホームヘルプなどの利用断念・抑制のほか、生活費を削減するといった利用者、また、報酬が削減されて運営危機に陥る施設が少なくないという指摘があり、実態を把握するため、日本共産党国会議員団などが40都道府県の350事業所を対象に調査。うち172事業所、5,798人の利用者から回答があった。
 事業所運営への影響を見ると、同法による報酬の切り下げで、同法の実施前に比べ収入が1〜2割減少した事業所が61.9%に上ったほか、3割以上の減少となった事業所も1割近く見られた。「人材不足」も深刻化しており、2006年4月から07年3月までの1年間で、離職した職員が「いる」と回答した事業所は半数を超え、うち離職者数・職員定数を明記した74事業所では、離職者が239人と職員定数の18.2%に及んだ。東北地方の施設では、職員20人中8人が離職した例もあった。
 今春(07年4月)の職員募集に関しては、「募集人数どおりの応募があった」事業所は33.8%だった反面、「足りなかった」が倍近い66.3%に上った。職員が離職したり、集まらない理由としては、「労働がきつい上に賃金が低い」ことで共通しており、新規募集についても「将来への不安から応募する若者がいない」という悲痛な声が多く寄せられていた。
 利用者への影響では、月額1万円以上の負担増が6割に上り、サービスの利用抑制や外出控えなど自立生活がかえって後退していることが明らかになった。
 こうした同法の実態に関し、京都府の施設は「年収200万円台の職員がほとんど。良い支援ができないだけでなく、職員確保が困難。若い人は結婚できないし、結婚したい人、子どもがほしい人は辞めざるを得ない。官製ワーキングプアをつくっている」と批判。香川県の施設も「国は障害者の自立を考えていない。いかに財源を減らすかのみである。予算を大幅に増やさなければ、職員の確保ができず、日本の福祉の将来展望はない」と指摘するなど、危機的な事態を打開するため、「報酬単価の引き上げ」などを求める声が圧倒的多数に上っている。
 千葉県の施設は「国による(負担軽減等の)一時的な軽減策が講じられたが、自立支援法が抱える根本的な問題は解決されていない。障害を持った方たちの精神的負担、事業所の経営圧迫は深刻。一日も早い法の改正を願う」と訴えており、同議員団は「調査で共通する全国各地の施設・事業所関係者の切実な声」と述べている。