最近の仕事(東浩紀インタビュー、道東旅行記)



 2015年もどうぞ、よろしくお願い致します。
 本年も地道に、地味に、精一杯の仕事をしていくつもりです。


 最近の仕事です。


 ◆「東浩紀インタビュー――批評を持続させるために」(「すばる」2015年2月号)


 取材・構成を担当させて頂きました。ゲンロンカフェでインタビューした時、東氏の言論・批評に対する真摯な思いに触れて、胸が熱くなったことを今も生々しく思い出します。あの場で僕が感じた空気を、少しでも、読者の皆さんにもお伝えできれば、という気持ちで構成を担当しました。僕個人にとってもすごく重要な経験になりました。批評に対する向き合い方を、もう一度、見つめ直すことを静かに迫られるような。もう一度お礼を言いたいです。そして僕としては、特に、若い人々に読んでもらいたいと思っています。東氏の批評の核心を存在丸ごとで継承し、未来へ向けて更新していくのは、やはり、不確実で確率的な人生を生きているような、瑞々しい感性と若々しい情熱を持つ若者たちだ、と考えるからです。


 ◆「道東旅行記――アイヌのこと、少しずつ」(7枚、「新潮」2015年2月号)


 家族旅行の記録をベースに、アイヌの人々の事をほんの少し、書きました。ごく短いエッセイですが、今後の仕事に繋がるはずの、たいせつな文章になりました。マイノリティの人々の多様性・複雑さを前に、僕らは(少なくとも僕は)、全てのマイノリティ問題について等しい深さでコミットすることはできません。たとえば僕で言えば、10数年の仕事を経て、障害や病を持つ人びとをめぐる現実への関心がまずは中核にあり、しかもそのことすら今も吃り吃りしか語ることが出来ないのに、他の領域のマイノリティの人々の現実について、何らかの信念をもって、何を語ることができるのだろうか。それが率直な気持ちです。しかし他方で、僕はマジョリティの日本人男性であり、たんなる傍観や沈黙に安住するのもおかしい。では、その先の一歩を刻むとは、何だろう。しかもそれを倫理的・内省的にのみ語るのではない語り口で語るとは。そんなことを考えてみようとしました。少なくとも、少しずつ考え続けていくための踊り場に立ってみようとしました。




すばる2015年2月号

すばる2015年2月号

新潮 2015年 02 月号 [雑誌]

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