そもそも「改革のグランドデザイン」って何?

【「川崎市の障害者福祉をグランドデザインする」セミナー(第1回)が2月20日にひらかれます。その準備を進めています。
 当日来場者に手渡すための、GDの資料(の一部)を何人かで作成している。下に載せます。今後も色々手を入れていきます。行政の主張の方も、刻々と微調整されているので。】

 介護保険と支援費制度の「統合」の問題が長く論じられていました。支援費の財源不足は、平成15年度が128億円、平成16年度は250億円前後と予測されます。
 その中で、2004年10月12日、厚生労働省からやや唐突に――支援費制度の総括などもなく――「改革のグランドデザイン案」が発表されました。十分な説明や議論がなかったため、当事者・関係者の皆さんに今も混乱をまねいていると思われます。しかし、この「改革」の流れは、実際は20年近く前から少しづつつくられてきたものです(その辺りの経緯は別紙の資料をみてください)。
 障害者福祉が今後5年以内で、大きく変わります。
 平成18年1月から段階的に「改革」が実施され(日経新聞04年12月10日)、5年後の平成23年をメドに完成予定とされます。次の4月(平成17年度)からも部分的に「改革」の流れが進んでいくでしょう。(障害児に関しては、児童福祉法の改正を踏まえ、3年以内に結論を得るとされます。)


 以下では、現時点でわかっているグランドデザインの内容・変更点を、ごくかんたんに並べます。もちろん、今後変更される部分も多々あると予測されますので、その点はご留意下さい。


●三障害(身体・知的・精神)の法律・サービスが、トータルに一体化されます。今期通常国会に、「障害者自立支援給付法」(仮名)案も提出されました。また将来的には、障害別だけではなく、年齢・疾病を超えた一元的な体系が整備される見込みです。


グランドデザイン案では、「(地域での)自立支援型システムへの転換」が強く謳われています。中でも就労支援が特に強く謳われています(一般企業やハローワークとの連携など)。


●障害者福祉に関わる制度・財源の「長期的な持続可能性・安定」を目指し、そのために「国民の信頼を得る」「国民の正しい理解を深める」ことが必要とされます。(精神障害の認知度を高めるなど。)


●多くの障害者福祉の権限が地域(市町村)に委譲され、川崎市の独自性が強く出ると考えられます。


●「負担額の公平化」が強調されています。福祉サービスを利用すると、今後は、1割の負担(定率負担)がかかります。介護保険の1割負担をイメージして下さい。2006年1月から実施予定。
 なおこの場合、障害当事者本人だけではなく、(年収300万円以上の世帯に関しては)「世帯」を単位とし、負担がかかります。つまり親きょうだいの所得を考慮されます。上限額は毎月40200円(一般)とされますが、食費・水光熱費・医療費などを加えると、トータルでどの程度の負担増なのか、現時点でははっきりとはわからない面もあります。


●施設通所者は、食費が自己負担になります(15000円程度)。施設入所者は、食費・水高熱費・個室費が自己負担になります(58000円程度)。(これに医療費の負担が加わります。)入所者は、手元に15000円のおこづかいが残る形に――生活保護の対象にはならないように――調整する、とされます。


●医療費の自己負担が、国民健康保険などと同じ3割になります。2005年10月から実施予定。
 なお「重度かつ継続的」な医療を必要とする方に、どの程度の公的援助が残されるか、またどこまでをその範囲とするかは、わからない部分があります。


精神保健福祉法の「32条」(医療費の自己負担が5%以下になる)が変更になる動きがあり、現在も色々と議論されています。てんかんがある人の医療に大きな影響をもたらすと考えられます(知的障害の人にも実は32条の問題は深くつながっています)。


●現行の施設(入所、通所授産、デイサービス、小規模作業所など)のあり方と体系が、今後5年以内に、根本的に変わります。新しく位置づけられる各施設の役割・特性に関しては、まだまだわからない面があります。


●障害者福祉分野にも、今後は民間のサービス会社などが参入し(老人介護のニチイ、保育のベネッセ等のように)、市場原理のサービスが入って来ます。また、NPO法人なども、部分的に施設を運営できることになるようです(入所はダメ)。


●支援費制度の「移動介護」(ホームヘルプサービス)は、今後は、障害の重度とされる方は「行動援護」「日常生活支援」、軽度とされる方は「移動支援事業」(一般財源=市町村の全額負担)へと変っていく見込みです。


●サービスを「買う」ための契約システムと負担額を考えると、当事者がサービスについて(ケアマネやサービス提供者と)十分に話し合うことが大切になります。


●今まで明確に位置付けられていなかった「障害者ケアマネージャー」が新設されます。障害者ケアマネの資格要件は検討中で、介護保険分野のケアマネ、社会福祉士などが候補に挙がっています。


成年後見人制度が……


グループホームは……


●重症心身障害児者は……