福祉業界と既得権その他について・の散漫な印象

 数日前『会社というおかしな場所で生きる術』ISBN:4408105880とその知人の方々を招いて、夜の勉強会。
 主に組織・行政における《既得権》の悩ましさをめぐって。
 福祉畑とは異なる場所で生きる(福祉業界は福祉内輪にやや流れやすい)企業や経営のプロの人々を交えた話で、めちゃくちゃ面白かった。行政に政策提言をするNPO法人を作り、シンクタンクと連携する話など、熱く語る。もやもやしたものが前方にきりひらかれていく感じを少し味わう。
とにかく、経営の勉強をせねば!


 柴田さんらによれば、障害者福祉分野の既得権構造は、一般企業や組織の構造と同じ。
 その意味で、福祉分野は「聖域」「特別」ではない、と感じる(川崎市の障害者福祉には「三大勢力」?的な社会福祉法人が存在する)。組織の普遍的な構造を、いわば濃縮しているだけなのかも知れない・・・。
 日本の福祉は「ハコ型福祉」で、建築業界などと結びつきつつ、天下り先の潤沢な温床となっている。特に地方に行くほどそれは強いと聞く。福祉に関して全く無知な人が施設長だったりするのはざら(社会福祉士会の小畑さんも、日本の福祉の現状を変えるにはこの構造を変えるしかない、と述べていた)。
 その事実も含め、『福祉を変える経営』ISBN:4822243648(ヤマト福祉財団理事長)がいうように、障害者は産業として「搾取」されている事実を冷静に見つめ自己検証しなきゃやっぱりいけないのかも知れない。特に介護労働者は。障害者の授産施設・作業所の賃金は殆どが月給1万円に満たない。またその仕事も下請け産業やリサイクル産業など、最底辺の産業に従事している場合が多い。前にもふれた「障害者産業」の矛盾は、考えてみると、アメリカの「野宿者産業」(野宿者支援のNPO法人の人件費で野宿者支援のお金が食われる)よりもずっとひどく、また根深いものかも知れない。


 ただ、その勉強会の場で、その勉強会に柴田さんを招いたAさんが述べた点でもあるけど、既得権の批判は、他者の批判と同時に、自分の胸元をえぐることでもあり、自分の血の流れる作業となる。他人を切ると同時に、返す刀で自分を切ることでもある。
 他人の既得権の批判が、自分の既得権の保護になってしまえば、何の意味もない。それは非常に難しいことです・・・。それから、例えば既得権をもてない者(例えば今の若い福祉労働者とか)が、既得権を批判し打破するとして、自分が権益を勝ち得たときに、その人も再び既得権の保守に回ってしまうのではないか(ぼくはどうだろう?)。現段階から、そういうことも考えつめていかないといけないし・・・。というか、現時点で自分の属するNPO法人はどうか。支援費のヘルパー部門はトータルな障害者福祉の中でどんな位置づけを持つか。


 散漫な感想だけれど。