障害児の地域療育を考える会(第11回)

 月1の「障害児の地域療育を考える会」の末席にちょこんと参加。


 グランドデザイン・自立支援法ではおきざりにされている印象のある児童期支援だけれど、たとえば、療育センターには今後、1割負担/手帳制の導入/職員体制の入れ替え、などの変化があるらしく(他の自治体ではどうなのか)、どこの支援機関ともつながりのない家庭がふえるのではないか、そしてしばしば言われる障害家族の経済格差がいっそう響いてくるのではないか、など。


 川崎市は「学童保育」(原則、両親が共働きなどの理由で、親が家庭にいない児童を、子ども文化センターなどで指導員が見る制度)を基本的に撤廃した市町村として有名だが、かわりに「わくわくプラザ」という事業が導入された。
 市内全ての小学校で整備された学校開放型事業で、校庭や開き教室などを解放し、定員はなく、参加要件もない。一日の利用が100名を超えるような小学校もある。大規模校や障害児の人数によって、スタッフの「加配」はあるが、実質的に細かい対応はむり。またスタッフもローテーションなので、個別の特性にあわせた対応もむずかしい。事故の多さなども新聞に載ったりする(これはスタッフ側にも気の毒な面はあるけど)。「川崎市学童保育連絡協議会」では、「わくわくプラザは学童保育の代わりにはならない」というスタンスを取っている。
 家族の貧困化と格差がひろがる中、共働きの家庭のための学童保育は制度的に必須な面があるのだが、これが打ち切られ、大人数の子どもたちに少人数で対応するわくわくプラザに切り替えられていくのだが、「誰でも受け入れる」という開放性をうたっているものの、実質的に対応する人がいないわけで、障害児ではわくわくには通えない人々はとうぜんいる。この「誰でも使える」という全面的開放性は実質的な陰湿さをふくむ場合がおうおうにある。また、わくわくを使えるのは小学生までなので、「中学生」が谷間に落ちる(今のところ、高校生なら支援費の移動介護が使える)。放課後支援の制度が、本当に今は何もないのだった(それで来年度からのタイムケアに期待が寄せられる)。だから子どもが中学生にあがるのを機に、仕事をやめざるをえないお母さんもいる。いま娘が6年生だからそろそろ仕事をどうするか考えないと、でも本音ではやめたくないし、一度は諦めていたのだけど、タイムケアのことを聞いて少し希望が持てるのかな、という気もするし……と。共働きが必須の家庭ほど当然きびしい。きびしいが、きびしい家庭ほどシワヨセがきびしくなる。「昔は児童期のサービスなんてなかった、今のお母さんはまだ恵まれている」と述べる少し上の世代のお母さん方もいるけど、高度成長期との経済状況の変化=不安定化を繰り込まないと、実状は見えてこない。


 ただ、川崎でも学童保育が完全撤廃されたわけではなく、いくつかの学童保育は市の補助金を受けて運営しているが、この補助金も打ち切られていく流れにあるらしい。それ以外の学童保育は自主運営で、自分たちのお金をきりくずす形で運営を続けているようす。
 川崎市学童保育連絡協議会のひとが言っていたのは、今後、川崎市の「わくわくプラザ事業」が、全国のモデルとなり、学童保育の縮小や撤廃につながっていくのではないか、と。


 ともあれ、現時点で見えているだけでも、「児童デイサービス」(川崎市に現在3個所)「タイムケア事業」(来年からスタートか)「移動介護」(高校生以上)「ふれあいサポート事業」(川崎市独自、ボラ的価格、送迎や見守りも可)「わくわくプラザ事業」(小学生のみ)「学童保育」……など、今後の障害児サポートは、年齢や場所の制限も含め、かなり複雑にいりくんでいる。一つの制度が起てば他の制度が圧縮されたりする。綱引きの状態でもある。そして一つひとつの制度にも細かい規定や条件がある。それらも複雑にからみあっている。まずは交通整理が必要。


 連絡会には、養護学校の先生たちも参加していて、夏休みの学校開放などのプランを。特に市立養護学校は積極的に場所の開放を提案してくれている(プール利用は厳しいみたいだけど)。学校の空き教室などを用いるタイムケア事業なども先に見据えつつ、こういう連携が大事。