デイサービスS見学

 休みが取れ、デイサービスSを一日ボラで見学。


 4グループに分かれ、そのうちの一つに。午前は宅配スシのチラシ折り。仕事中の当事者達の楽しそうな雰囲気、熱心さに驚く。仕事を通じた協同、を実感・・。
 知的ハンディのある男の子から、チラシの効率的な折り方をレクチャーされる(両端を見ず、片側だけで合わせて折るのが大事だとか)。「お兄さんもボラなんかやってないでマジメに働かないとー、ぼくなんか痴呆のお婆ちゃんの介護で大変なのよ、今は老人ホームに入っているけど」と諭される。しかも、オセロがめっぽう強く、2度対戦するが、手も足も出なかった。修行し直し、リベンジ予定。
 チラシ1枚0・5円だそうだ。グループには重心の人も多く、午前中で2000枚ほど。1000円にしかならない。


 施設長Kさんに聞いたら、「下請の仕事」の限界を感じるという。単価が安すぎる。期間も不安定。打ち切りも多い。春先に大量にかけたシュレッダーの紙が部屋の一角に山とつまれてある。急遽打ち切られたもの、秋口に再び納入できないか、ストックしてあるという(その点、施設は保管場所にはあまり困らず、利点)。
 それから、内職系の仕事は、呼び出しも多く、本部が近くにないと対応できないという。
 労働能力の高いグループの人は、自動車の芳香剤の組み立てを。一つ5・5円。このグループは完全歩合制。(それでも2〜3万円。)
 他のグループは平等にお金を分配しているが(一人1万円ほど)、当事者の間から苦情の声が上がり(なんでこんなに頑張っているのにお金が同じなの?)、全グループが歩合制になりそう。すると、障害の重い人びとの親から逆の不満の声が上がりそうだ、とも。
 なぜ高い工賃を目指すか。本当はグループホームへの移行を将来の目標に置いている、と。そのためには、確実に、障害基礎年金(他に細々とした給付はあるが)だけでは生活できない。親きょうだいの仕送りが無い状態では、5万円から10万円の安定的給与が不可欠となる。ではその条件をどう整えるか。これが極めつけに難しい。下請仕事では無理だ。・・。


 このデイサービスは、実はある全国チェーンの古書店(皆さんもご存知の黄色いアレです!)から、モデル事業の依頼を受けたという。本の買取の外注=アウトソーシング。これは人的な手間がかかるが、知的当事者に可能な仕事だという。段ボールひと箱で結構な値になるらしく(額は忘れた)、これがうまく軌道に乗れば、当事者が月に5〜6万円になる見込み。モデル事業として成果を挙げれば、全国規模の古書店・作業所の連携の可能性もある(色々難しい問題も山積みだけど――フリーター問題等と連続し、障害当事者を「下請・孫請・孫孫請…産業化」の構造に積極的に組み込むことの端的な危うさ、ねじれもあるし)。*1


 「ある種の能力主義」をKさんは肯定し、社会・支援側のその足りなさを嘆くが、そこには「常時介助が必要な障害当事者への完全なサポート体制」が必要最低条件となる、とも明確に言い切る。

*1:下請の仕事はKさんらが営業活動で、足で見つける。一般就労対象の求人誌は存在するが、作業所レベルでは見当らない、という。反応が返ってくる可能性はまず低いが、うちの法人の広報誌(市内1500部発行)に仕事・作業など募集の広告をまずは張る事を提案(杉田は広報部の下っ端でもあるので)。少し前に「作業所ドットコム」プランを紹介したけど。庭掃除とかその他「お手伝い部隊」的な? 主に老人むけの、駅前の自転車整理・清掃などを障害者に発注できないか、とKさんは述べる。また重心とガイドヘルプが多く「就労」ベースの皆無なうちの法人にとって、新風の導入と連携に繋がるかも。広報誌の広告スペースを活動資金化する計画等も今後は。足場固めはまだまだ。