クリント・イーストウッド『ミリオンダラー・ベイビー』
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2005/10/28
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 190回
- この商品を含むブログ (531件) を見る
絶句。後半、一挙に安楽死・尊厳死映画へと転調する。凡百の「障害者もの」よりはるかにすごい。イーストウッドの世界観の、この重苦しさはなんだ。人生や「運命」(やはりこう呼ぼう)とぎりぎりまで戦いつくし、でも敗北をくりかえし、その先に初めてたどり着いたような、この息苦しさと硬質さはなんだ。『ミリオンダラー・ベイビー』は、『ミスティックリバー』の重苦しさをさらにシンプルに煮詰めて純化したようなストーリーで、本当に絶句する。だがその先で、ぼくは、やはり、イーストウッドの感覚は致命的なところでまちがっている、と思う(この映画が選ぶ安楽死の肯定否定それ自体をいうのではない)。「ちがう!」と叫びたい。