映画

『へばの』の上映と木村文洋氏への手紙

以下の映画上映があります。 へばの・2011・3年目の上映 ■東京・渋谷 『へばの』英語字幕版上映+USTREAM 同時配信 2011年5月15日(日) ◎モーニングショー 【開場】 10時30分 【開映】 11時00分〜 【座談会】 12時45分〜【会場】 光塾 COMMON CONTACT ※上映…

内なる帝国が内から破られる――デイヴィッド・リンチ『インランド・エンパイア』

今月は仕事が山積みで全然時間が足りないんだけど、今日は連れと恵比寿ガーデンプレイスへ行き、待望のデイヴィッド・リンチ『インランド・エンパイア』(2006年)を観ました。 細かい部分は殆ど意味不明だった。でも凄かった。黒沢清『叫』やアンゲロプロス…

黒沢清『叫』

叫 プレミアム・エディション [DVD]役所広司Amazon 黒沢は「Jホラー史上最恐」をねらったのかもしれない。 ありふれた幽霊物語ではある(『ドッペルゲンガー』『LOFT』のように、複数のジャンルが奇形的に組み合わさっているわけではない)。しかし、葉月幽…

『嫌われ松子の一生』

『嫌われ松子の一生』をDVDで。嫌われ松子の一生 通常版 [DVD]出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント発売日: 2006/11/17メディア: DVD購入: 2人 クリック: 91回この商品を含むブログ (435件) を見る 「女であること」を直情的に生き切ろう…

ナイト・シャマラン『レディ・イン・ザ・ウォーター』を

DVDで。レディ・イン・ザ・ウォーター 特別版 [DVD]出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ発売日: 2007/01/26メディア: DVD購入: 2人 クリック: 26回この商品を含むブログ (72件) を見る うーん…。って感じ。 ここまでストレートに自分の「隠された…

是枝裕和『花よりもなほ』

花よりもなほ 愛蔵版 (初回限定生産) [DVD]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2006/11/24メディア: DVD購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (33件) を見る そういえば、少し前にDVDでみた是枝監督の『花よりもなほ』がさくっと面白か…

大分前にみた黒沢清『LOFT』は微妙だった

設定がそっくりな、当たり障りのない青山真治『レイクサイドマーダーケース』(http://d.hatena.ne.jp/sugitasyunsuke/20050802/p1)よりは、ずっと不気味な映画ではあるのだけれど…。 例によって、ジャンルの転調=複焦点化が生じ、収まりのつきにくい映画…

スピルバーグ『ミュンヘン』と、おいしく食べることと、平和と

スピルバーグ監督『ミュンヘン』をDVDで見た。*1 ミュンヘン スペシャル・エディション [DVD]出版社/メーカー: 角川エンタテインメント発売日: 2006/08/18メディア: DVD購入: 2人 クリック: 48回この商品を含むブログ (237件) を見る 不気味なほど淡々と…

梅山景央『コミット?』

→https://www.youtube.com/watch?v=Kp-CodRkaqk 「杉田さん『シスタープリンセス』って知ってますか!ある日主人公のもとに12人の妹がやってくるんです!みんな「お兄ちゃんが大好き」です!そして呼び方が全員違うんです!「お兄ちゃん」「お兄様」「お兄…

ゴダール「と」、…

ゴダールをちゃんとみてきたわけではない。彼について知っている事柄は二、三しかない。正直、ペダンチックで超絶技巧的なところがうざったいし、心からは好きになれなくもある。しかし、限界を超えて行く所まで行こうとする人はやはり凄い、と率直に感じる…

ゴダール『勝手に逃げろ/人生』について、ちょっと思ったこと。

勝手に逃げろ/人生 [DVD]出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ発売日: 2005/11/25メディア: DVD クリック: 54回この商品を含むブログ (19件) を見る ゴダールの映画『勝手に逃げろ/人生』(1979年)で、これは主要な人物たち(映画監督のポールと…

ストローブ=ユイレ『ルーヴル美術館訪問』(2004年)

殆どのショットがルーヴル美術館の絵画の固定ショット。あと数回のブランクと、2つの美術館外部の風景のショット、最後の森の中のショットはストローブ=ユイレ『労働者たち、農民たち』(2000年)の冒頭部分からの自己引用。『セザンヌ』と同じくギャ…

ストローブ=ユイレ『セザンヌ』(1989年)

セザンヌ/ルーヴル美術館訪問/アン・ラシャシャン/ロートリンゲン! (ストローブ&ユイレ コレクション) [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2005/10/22メディア: DVD購入: 5人 クリック: 54回この商品を含むブログ (22件) を見る より。 「作家…

クリント・イーストウッド『ミリオンダラー・ベイビー』

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2005/10/28メディア: DVD購入: 1人 クリック: 190回この商品を含むブログ (531件) を見る 絶句。後半、一挙に安楽死・尊厳死映画へと転調する。凡百の「障害者もの」よりはるかにす…

スティーヴン・スピルバーグ『宇宙戦争』

・・くたくたに疲れてしまった。この人はマジおかしい。そう思った。最近よく「スピルバーグはヒューマニズムだけではなく、非人間的な地獄絵図への欲望がある」云々という議論を見るけど、今回は心底そう思った*1。通奏低音は「うるさい」。破壊に次ぐ破壊…

青山真治『レイクサイドマーダーケース』

レイクサイド マーダーケース [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2005/07/29メディア: DVD クリック: 28回この商品を含むブログ (113件) を見る 青山真治『レイクサイドマーダーケース』がDVDでレンタルされていた。借りて観た。 (ネタバレ…

D・W・グリフィス『散り行く花』

先日、グリフィスの『散り行く花』(1919年)をDVDで見、いたく衝撃を受けた。 散り行く花 (トールケース) [DVD]出版社/メーカー: アイ・ヴィー・シー発売日: 2003/06/20メディア: DVD クリック: 4回この商品を含むブログ (18件) を見る ロンドンのス…

ナイト・シャマラン『サイン』と『ヴィレッジ』

シャマラン映画をみると落ち着かない感じになる。それは作品のねじれた構造から来る*1。シャマランのベーシックな世界感覚は、内部と外部、正義と暴力のメビウス的な反転(決定不能)、にあるのだろう。家族の日常を描く決め細やかなリアリズムと、SF的な…

エレニの旅

エレニの旅 [DVD]出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2005/11/26メディア: DVD購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (34件) を見る ある側面についてだけ、『エレニの旅』の感想を・・。最後のエレニの絶唱がぐるぐると残響し、トータルには考え…

『ミスティック・リバー』――それは本当に「どうしようもない」のか?(2)

見てみよう。 ティム・ロビンスは、少年時代に誘拐・暴行されたうえ、その後の人生でも風評=二次被害に苛まれ(ケヴィン・ベーコンの同僚の刑事は、偏見的に彼をケイティー殺人の犯人と疑う)、傷から逃れることが出来ない。 人は内的トラウマは消えないと…

『ミスティック・リバー』――それは本当に「どうしようもない」のか?(1)

人生の「どうしようもなさ」とは何か。 ずっとそのことを考えてきた。 ショーン・ペン/ケビン・ベーコン/ティム・ロビンスの少年時代。彼らが路上で遊んでいると、この世界そのもののような、理不尽な暴力が訪れる。 二人の男の手で、子供時代のティム・ロ…

押井守『イノセンス』――誰が無垢を必要としているか、無垢を必要とされた誰かは何を必要としているか

少し前に、押井守の作品を何作か、まとめて見た(『ビューティフル・ドリーマー』『パトレイバー2』『アヴァロン』『攻殻機動隊』『イノセンス』)。中でも惹かれたのは『イノセンス』で、3度見直し、DVDを購入した。(注1) 『イノセンス』(二〇〇四…

山中貞雄『河内山宗俊』――ダメ人間どもの(それほどでもないけど)偉大さ

今年最初に見た映画。山中貞雄*1『河内山宗俊』(コウチヤマソウシュン、1936年)をDVDで。地元のTUTAYAに置いてある。飛びついた。 山中さんは1930年代の日本映画黄金期に活躍した監督。29才で亡くなられ、また多くの作品が失われたので…