協同労働の協同組合をワーキングプア対策に?



 法制化の可能性は五分五分、と言われていたけど、ちょっと変な流れになってきた。協同組合は伝統的に失業者対策/失業者の自主的雇用創出の面をもつので、おかしな話ではないのだけれども、少しきな臭くもある。
 協同組合の法制化もまた、「行政からの補助金など、公的支援に頼らない点も特徴だ」「地方自治体の行政サービスを民営化する際の委託先などになることも想定されている」など、社会的企業やらワークフェアやらの流れに沿って、下請け産業・孫請け産業の水際へと押し流されていく危うさもありそう。まあ、阪神淡路大震災の「後押し」もあって特定非営利活動促進法NPO法人法)ができたみたいに、歴史の後押しは常に必要であるわけだし、行政・企業の思惑と草の根の動きが必ずしも一致するわけでもないわけで。
 ちなみに、これも歴史的に、労働組合運動と協同組合とは相性が悪いので(労働者が協同組合を自主的に運営してしまえば、使用者と労働者の対立=敵対性が見失われるため)、今後、反貧困の流れの中で、どの辺に接点が見出せるのか見出せないのか。

ニート雇用の受け皿に=新協同組合の法制化で議連発足
時事通信社 - 02月20日 19:01)


 働く人たち自身が出資金を出し合って事業を運営する新しい型の協同組合を法制化しようと、超党派議員連盟が20日発足した。ニートやフリーターなどの雇用の受け皿として期待されており、衆参両院から77人の議員が参加した。会長には公明党坂口力・元厚生労働相が就任。今国会での新法成立を目指す。
 新しい協同組合は、そこで働く人たちが一口5万円程度の出資金を出して経営に参加し、非営利事業を行う組織。特定非営利活動法人NPO法人)と形態が似ているが、働く人の間に雇用関係はなく、対等の立場で支え合う点が異なる。 
時事通信社]


ワーキングプア対策、「労働版生協」法制化目指し議連発足
(2008年2月10日09時32分 読売新聞)


 参加者が生活するために必要な利益だけ確保する非営利団体「協同労働の協同組合」の法制化を目指し、20日に超党派議員連盟が発足することが9日、明らかになった。
 フリーター、働いても収入が少ない「ワーキングプア」、既に退職した高齢者などが働くための受け皿となることを期待して、法的根拠を明確にしようというもので、「脱貧困」対策として、今後の取り組みが注目される。
 協同組合はNPO(非営利組織)法人と民間企業の中間的な位置付けの団体。働く人が出資者と経営者も兼ねる形となっており、一口5万円程度の出資金を出して「組合員」として働く事例が多い。出資額に関係なく組合員は平等な権利を持ち、企業のように「雇用者と被雇用者」という関係が存在しない。生活協同組合(生協)の労働版とも言われる。行政からの補助金など、公的支援に頼らない点も特徴だ。
 全国には「協同労働の協同組合」の理念で活動している人が約3万人おり、事業規模は年300億円程度に上るとされる。事業内容は、介護・福祉サービスや子育て支援オフィスビルの総合管理など幅広い。企業で正規に雇用されない若者や、退職した高齢者などが集まって、働きやすい職場を自分たちの手で作り、生計を立てられるようにすることが最大の利点で、フリーターなどの新しい働き方として期待されている。
 しかし、協同組合の根拠法がないため、形式的にNPO法人などとして活動している事例が多い。協同組合の法制化が実現すれば、寄付に頼るNPO法人よりも財政基盤が強固となり、参入できる事業の規模や種類が拡大すると見られている。また、地方自治体の行政サービスを民営化する際の委託先などになることも想定されている。
 議連設立は、協同組合の法制化を目指す「法制化市民会議」(会長=笹森清・前連合会長)の働きかけが背景にあった。公明党坂口力・元厚生労働相らを中心に、自民、民主、社民など、与野党で法制化に賛同する国会議員が増えており、議連では、議員立法で協同組合の法的位置付けを明確にし、活動の幅を広げることを目指す。「法制化市民会議」の中核団体である日本労働者協同組合連合会の古村伸宏専務理事は「欧州では、協同組合の法律があるのが当たり前。日本でも、早急に法律を整備する必要がある」と訴えている。