精神ヘルパーの小規模な印象

 lessorさんのところが精神障害ホームヘルプを始めるという記事(http://d.hatena.ne.jp/lessor/20060206)が。
 今のNPO法人で働き始めてから数人の精神障害の人にヘルパー/コーディネーターとして関わった。以下、私的な印象を記す。といっても、現法人は身体障害・知的障害の人を対象とするNPOなので、実際は精神障害・知的障害を重複している人からヘルパー依頼があるわけです。生活・療育・福祉などを知的障害ルート中心で生きてきた人が多く、精神科に通院はするが、精神保健福祉分野とあまりつながりがなかったりする。精神保健福祉センターともほぼ没交渉だったり、更生相談所の心理判定が入っているが、更相の対応は微妙だったり。障害者自立支援法で各障害分野を統合すると言われるが、どうなんだろう。もちろん単純には言えないけど、知的/精神の両分野で必要とされるヘルパーの能力・資質にはずいぶん違いがある、と感じた。川崎市にも精神ヘルパーをやっている事業所はそんなに多くはないが、実際に中心的にやっている法人の代表の人に話を聞いたら、精神ヘルパーは高齢者ヘルパーにむしろ近い。週1〜2回、2時間程度のヘルパー利用が殆どで(ちなみに本人と一緒に調理をすると「身体介護」になる)、精神保健福祉センターを中心に支援者間では割りと緊密な連絡を取る。ただ、ヘルパー事業所に実際に下ろされてくる件数はかなり少ないみたい。ヘルパー部分というより、その人の生活全般を継続的に厚くサポートできる体制がないと、その人にとってはずいぶん気の毒な結果になったりする。ヘルパー部分というより、事前の支援体制作りや事後のバックアップなどがとても大事(頻回の電話にきちんと対応し続けるとか)。そもそも知的障害分野ルートで来るから、精神障害の人に移動介護で入るなんてことがあるわけです(これも三障害の統合やら行動援護やらで本当にやるつもりなんだろうか??とても考えられないけど)。きちんと「範囲=枠」を事前に取り決めておくのが大事で、それがお互いのためにもなる(?たぶん)。変な善意や感情移入は(他の障害分野の場合よりも)状況を悪化させがちかなと感じた。冷淡にドライにという意味でもなく、うまく自分を律せるか、というか。専門的な経験のない自分のような人間にとって、やはり独特の重力場に「引き込まれる」という感覚が強い。消耗する。これら全部を含めて、全く当たり前の話だけど、ぼくが関わった人たちが生活の基本で望んでいることはごくごくありふれた月並みなことばかり。とか、わざわざ書くのも馬鹿らしいくらい。でも、それを実現することが今の社会では途方も無く難しかったりして、ひきこもったり、すごく狭い生活圏でひっそりと暮らしている人がいたりもする。そうでもない人ももちろんいっぱいいるみたいだけど。