最近の仕事(『風立ちぬ』再考)

◆「はじまりの宮崎駿――『風立ちぬ』再考」(70枚、「新潮」2016年9月号) 2014年春刊行の『宮崎駿論』では十分に論じられなかった『風立ちぬ』に再び向き合ってみました。原稿は2015年5月頃にほぼ完成していたのですが(「すばる」の『もののけ姫』論や『長…

最近の仕事(土本典昭論続編+東浩紀論続編)

「すばる」の宮崎駿論続篇の短期集中連載のあとに、土本典昭論の続篇、東浩紀論の続篇(これはむしろ反復に近いものですが)と、近頃はなぜか、二年程前の原稿の続篇ばかりを書いていました。不思議です。二つとも、わりといい文章になった気がします。 ◆「…

最近の仕事(『もののけ姫』論承前)

「すばる」での短期集中連載、今回で最後になります。 4回を通して、何かが一つ突き抜けた気がします。 ちなみに宮崎駿論の続編プランとしては、『風立ちぬ』論は別誌に掲載待ち、『千と千尋の神隠し』論は準備中です。 よろしくどうぞ。 ◆「宮崎駿の「折り…

最近の仕事(『もののけ姫』論)

短期集中掲載の3回目。以前、全3回と予告しましたが、序論→『耳をすませば』論→『もののけ姫』論と来て、最後の『もののけ姫』論が120枚近くになったため、全4回となりました。今回は新しい一歩を踏み出し、文体や書き方がギアチェンジしています。書き継…

新刊『長渕剛論――歌え、歌い殺される明日まで』刊行

以下の本が刊行になります。 血と汗と涙と心を込めて書かせていただきました。 長渕氏との対話も収録されています。 どうぞよろしく。 ◆◆(4冊目)『長渕剛論――歌え、歌い殺される明日まで』(毎日新聞出版、2016年4月26日) http://mainichibooks.com/books…

最近の仕事(『耳をすませば』論+ドストエフスキー講座)

前号の続きが今月号の「すばる」に掲載されます。近藤喜文監督の『耳をすませば』について。 ◆「宮崎駿の「折り返し点」(2)――『耳をすませば』に背中を押されれば」(58枚、「すばる」2016年5月号) すばる 2016年05月号[雑誌]出版社/メーカー: 集英社発…

最近の仕事(宮崎駿の「折り返し点」)

◆「宮崎駿の「折り返し点」――『もののけ姫』論前哨」(58枚、「すばる」2016年4月号) 昨年の春ごろから、『宮崎駿論』(2014年4月)の続編を書き継いでいました。 前著では十分に論じられなかった1990年代後半の、宮崎駿の「折り返し点」の意味について、そ…

最近の仕事(『新カラマーゾフの兄弟』論)

◆「老い衰えていく神の信徒として――亀山郁夫『新カラマーゾフの兄弟』」(40枚、『ドストエフスキー』、2016年1月30日刊行、河出書房新社) ドストエフスキー: 新たなる伝説(仮)作者: 河出書房新社編集部出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/01/26メ…

最近の仕事(文芸批評ブックガイド+長渕剛ライヴCDブックレット)

2016年もよろしくお願いします。 本年も地道に、地味に、精一杯の仕事をしていくつもりです。 最近の仕事。 ◆杉田俊介×藤田直哉×矢野利裕「ブックガイド 近代日本の文芸批評を知るための40冊」(「すばる」2016年2月号) 上記の企画に参加しました。僕は16冊…

最近の仕事(坂口恭平論)

◆「坂口恭平の二律背反――『家族の哲学』に応答するための助走ノート」(30枚、「ユリイカ」2015年1月臨時増刊号) ユリイカ 2016年1月臨時増刊号◎総特集=坂口恭平 -『0円ハウス』『独立国家のつくりかた』『現実脱出論』から『家族の哲学』へ・・・複数のレ…

最近の仕事(長渕剛と三島由紀夫、文化系トークラジオLife)

「文藝別冊」から『長渕剛』が刊行されます。下記の原稿を書きました。長渕氏本人が企画に積極的に関わり、僕ら書き手とも応答しながら、雑誌の内容を高めていきました。充実した誌面になっていると思います。 ◆「長渕剛と三島由紀夫――その日本浪曼派的な命…

雑想(村上隆五百羅漢図展と塚本晋也『野火』)

六本木ヒルズ森美術館で村上隆の五百羅漢図展。 確かに、世界中の絵画や芸術の歴史すべてをぺらぺらな日本的現在の中にサンプリングし、叩き込んでいくという凄まじいエネルギーは疑うべくもなかったけど、個人的には、観る人間の美意識を攪乱し、たんなる美…

最近の仕事(長渕剛10万人オールナイト・ライヴin富士山麓体験記)

8月22日夜〜翌朝にかけて行われた「長渕剛10万人オールナイト・ライヴin富士山麓」の体験記を書きました。 編集者さんが(杉田の書くものとしては珍しく)「元気になった」と言っていました。「男らしさ」(男性問題)とナショナリズム(国民国家問題)につ…

最近の仕事(高橋弘希『朝顔の日』書評)

◆「骨を見る、花を聴く――高橋弘希『朝顔の日』書評」(「すばる」2015年10月号) すばる 2015年10月号出版社/メーカー: 集英社発売日: 2015/09/05メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見る

最近の仕事(上田岳弘と羽田圭介)

8月発売号(9月号)の文芸誌に、第28回三島由紀夫賞を受賞した上田岳弘氏の『私の恋人』の書評と、『スクラップ・アンド・ビルド』で第153回芥川龍之介賞を受賞した羽田圭介氏についての短い作家論を書きました。 名高い文学賞を受賞し、これからさらに飛躍…

最近の仕事(体が小さいことを)

◆「体が小さいことを障害や病気と言ってもいいのだろうか」(約6枚、「文學界」2015年7月号) SGA性低身長症の息子の子育てについて書きました。 「文學界」には初登場になります。ありがたく思います。 文學界2015年7月号出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: …

最近の仕事(絶対平和論、添い寝エッセイ)

◆「今、絶対平和を問いなおす――「イスラム国」人質事件から」(58枚、「すばる」2015年6月号) 文学と政治、時評と思想の「間」にとどまりながら、今、考えられることを考えてみました。保田與重郎、ガンジー、福田恆存、丸山眞男、ジャック・デリダらを参照…

近況(非常勤講師の件)と最近の仕事(書評一つ)

4月から出身校(法政大学)の大学院で「サブカルチャー論」の授業を1コマ担当することになりました。非常勤講師のお仕事は初めてです。約15年ぶりに母校の片隅に舞い戻るのかと思うと、やはり、感慨があり、郷愁もあります。宮崎駿、高畑勲、押井守、庵野秀…

最近の仕事(宮崎駿の記事2つ)

◆「宮崎駿の自然観について――そのアジア主義的な命脈」(約20枚、ニッポンドットコムwebサイト、2015年2月、[全文]→http://www.nippon.com/ja/in-depth/a03903/) 一般財団法人ニッポンドットコムは、ネットを通じて世界中に情報発信を行っている多言語発信…

『私たちに許された特別な時間の終わり』感想

かつてfacebook(2014年8月4日)に投稿した記事を以下に転載します(一部個人的な人間関係の話は削除しました)。 ***** 太田信吾監督『私たちに許された特別な時間の終わり』を昨日、試写で観た。 《2010年12月、かけ出しの映画監督の太田は、ひとりの…

雑想

●湯川遥菜氏の経歴が切なかった。というか、もやもやするものがあった。この国の「男であること」のこじらせ方が切ないと思った(つまりLGBT的な文脈や彼の人格的な特殊性では片付かないと思った)。それは弱さゆえに虚勢を張り続ける安倍晋三氏の男権主義と…

最近の仕事(ジェノサイド論)

◆「ジェノサイドについてのノート――リティ・パニュ、ジョシュア・オッペンハイマー、伊藤計劃」(62枚、「新潮」2015年3月号) 上記の批評が掲載されます。消費と倫理、娯楽と暴力、無関心と罪悪感の間を縫うような批評の可能性を考えてみたいと思いました。…

チェルフィッチュ『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』感想

2014年12月15日、チェルフィッチュ『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』(KAAT神奈川芸術劇場)をみにいった。 まず言いたいのは、「チャラチャラーっとした」しょぼさ(受動性)に、ここまで附き合ってくれる作品が現代にあって、僕にはありがたい、…

最近の仕事(東浩紀インタビュー、道東旅行記)

2015年もどうぞ、よろしくお願い致します。 本年も地道に、地味に、精一杯の仕事をしていくつもりです。 最近の仕事です。 ◆「東浩紀インタビュー――批評を持続させるために」(「すばる」2015年2月号) 取材・構成を担当させて頂きました。ゲンロンカフェで…

最近の仕事(岩明均特集)

◆斎藤環×杉田俊介「境界線に生きる者たち」(「ユリイカ」2015年1月増刊号) ◆「岩明均論のためのノート――地球外的な暴力性について」(15枚、同) 数年前によくお世話になっていた「ユリイカ」に久々に登場できました。対談と、短い原稿を書いています。精…

最近の仕事(『もののけ姫』論)

◆「『もののけ姫』論――ラディカルとリベラルのあいだに」(約30枚、「α-Synodos_vol.160」、2014年11月15日配信) 上記の記事が掲載されました。『宮崎駿論』は、労働・福祉・家族・信仰の次元を貫く、今の僕に書ける最高のものだと思っていますが、その後、…

最近の仕事(東浩紀論)

◆「東浩紀論――楽しむべき批評」(64枚、「新潮」2014年11月号) 今もなお最高に刺激的な批評家として疾走し続けている(すでに「批評家」という肩書にはおさまらないでしょうが)東浩紀氏について書きました。「東氏の多彩な仕事を、実存的・批評的な文脈に…

最近の仕事(山城むつみ『小林秀雄とその戦争の時』書評)

◇「「「秘密」」としての前哨――山城むつみ『小林秀雄とその戦争の時』書評」(「すばる」2014年10月号) すばる2014年10月号出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/09/05メディア: 雑誌この商品を含むブログ (5件) を見る

【再掲】浅尾大輔『ブルーシート』論

【再掲】将来の労働/生存/文化運動を削る試金石――舫いとしての浅尾大輔『ブルーシート』 (「国文学・解釈と鑑賞」、二〇一〇年四月号、学燈社、加筆修正あり) グローバリゼーションのもとの新しい多元的な貧困の形。国内でそれに与えられた名前は〈フリ…

『宮崎駿論』の書評・記事など

『宮崎駿論』の書評・記事などを随時更新していきます。 ●中川康雄氏「いつか子どもだったはずのすべての大人たちへ」、http://miraikairo.com/?p=2347 ●中島岳志氏「書評」(「毎日新聞」2014年5月20日)、http://mainichi.jp/shimen/news/m20140518ddm0150…